じゃがいもの話

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「いつから、いつから始める?」

朝、少し興奮気味に会長がりょくけんの会社にやってきた。会社の裏に構えた畑で、いよいよ男爵の収穫が始まったのだ。

じゃがいもの年間供給体制は、ごくごく簡単に言うと、
『にしゆたか』@九州などの暖地

    ↓

『出島(でじま)』@九州などの暖地

    ↓

『男爵』@静岡~関東

    ↓

『男爵』@北海道

とつながっていく。

にしゆたかは、早期に栽培可能で、豊産性でまん丸だ。暖かい場所でも栽培可能で、画期的な品種だが、どちらかというと早い時期に出ることに価値があり、食味は二の次のじゃがいもと言って良い。

出島は、男爵を作ることのできない暖地で栽培可能の中でも、食味の良いじゃがいもとして評価が高い。

そしてその次が男爵だ。インカの目覚めやキタアカリが幅を利かせるようになったが、やはりバランス的には、男爵が優れている。また、ここ静岡の浜松には、「三方原台地」と呼ばれ、まるで火星のような赤い土を有する台地がある。この土がミソで、じゃがいもの食味を大いに向上させるのだ。

「ものすごい甘さだ。ライマンも14~15度くらいある。」と会長。

「え?」思わず聞き返した。

ライマンとは、「ライマン価」のことで、でんぷんの含有率を表す。じゃがいもの品質を決定する際に、よく指標とされる。ちなみに、にしゆたかでライマン価8~9度、出島が9~11度、三方原の男爵で12度くらいあればよい品質だ。そしてもっともライマン価が高くなるのは、北海道で14度くらいなので、会長の男爵の値はかなり高い。

「肥料は結局あげたんですか?」と僕が尋ねると、

「…ほとんどやってないんだ。」 と不敵な笑みを浮かべた。「じゃ、畑で待ってますから。」と言い残して、会長は会社を後にした。

昼前に時間をつくって畑を訪ねた。良い天気だ。

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「明日から雨だから、今日掘っちゃいますから。」と会長。収穫のお手伝いの人と一緒に、日焼け防止のために、帽子の下に白いタオルをかぶりながら作業をしていた。

収穫されたじゃがいもは、特有のひび割れがあり、熟度十分、たしかに美味しそうだ。ひとついただいて帰ると、少し横着だが電子レンジにかけて、食べた。

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「なんだこれは!」 

ありえない甘さだった。普通、じゃがいもは2~3ヶ月貯蔵すると、糖化して甘みが出るのだが、これは収穫直後にかかわらず、ものすごく甘みがある。そう、ありえない甘さなのだ。

長崎の『出島』も、旨い芋だ。だが、この男爵は次元の違う旨さがある。出島は芋の味が濃く、会長の男爵はじゃがいもを超えた甘みが強く出ている。新じゃが特有のアクも少なく、2,3分茹でてせん切りにした半生じゃがいものシャキシャキサラダも美味しい。

同じじゃがいもでもこんなに味が違うのか、と思い知らされる。会長のじゃがいもは明日より、松屋の店頭に登場予定。ぜひお試しを。

■三方原新男爵 367円/袋(税込)


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