名人・中川氏の蕎麦。

 福島県会津地方。独特のラーメンで知られる喜多方よりもさらに進んだところに、名人 中川さんの蕎麦屋はある。

 出会いは一昨年に遡る。上司に頼んで、良質な「身不知柿」の生産者を探していたところ、二名の農家さんを探し出した。そのうちの一人が、中川さんだった。本職は、蕎麦打ち。身不知柿も、自分の打つ蕎麦に合うデザートは何かを考え、思いついたのが、家にあった柿だったという。

 蕎麦好きの上司にとっては、当然の流れだったか、誘われるまま、出された蕎麦を食し、心酔しきってしまった。別の産地に赴いていた私に電話があり、「身不知柿も、だけれど、ものすごい蕎麦に出会ったよ。野菜屋と言う側面はあるけれど、銀座で売れないかね?」

 そんな始まりだった。

 会津地方の標高の高い地域で育った蕎麦粉を、中川さん本人が打つ。蕎麦生地を寝かした後、蕎麦の実の皮を再度、数割ほど配合する特別な打ち方なのだと言う。十割の蕎麦の場合、コシは強いものの変に固かったり、逆にブツブツと切れてしまうものであったり、外観もそれほどきれいなものは無い。正直なところ、あまり美味しい!と思ったことがなかったのだが、中川さんの蕎麦は違う。

 茹で上がった蕎麦は、うっすらと透明感があり、喉越しに優れ、歯ざわりも丁度良い。蕎麦本来の香りや甘みが、本当に堪能でき、つゆなしで、それだけで、美味だ。

 本人の家に行けば、さらに細いそうだが、都会の主婦のため、と本来のものよりも少々太めに切ってある。ゆで方の秘訣は、「混ぜない」こと。それさえ守れば、簡単にゆでることが可能だ。

 美しく、かつ美味なる名人の蕎麦。ぜひご堪能頂きたい。

■会津十割蕎麦(二人前) 2,100円(税込) つゆ付き 福島県産 数量限定販売

■会津身不知柿 1個 263円(税込) 福島県産

ご一緒に。

■有東木本わさび 1個 399円(税込)~(大きさによる) 静岡県産

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