りょくけんパインは一日にしてならず。

「パイナップルありますか!?」

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遠まきに眺めていた4人家族のうち、ほら、良いから聞いてみなさい、とご両親に促されて、小学生くらいの娘さんが、店頭にいた私に向かって尋ねてきた。

たまプラーザ店だったから、もう2年前のことだ。

残念ながらオフシーズンで、「今、もう無くて、次は一年先なんです。」とご案内すると、明るかった表情がたちまち曇り、下を向いてご家族のほうに戻っていった。その変わり様が忘れられない。

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パイナップルの栽培期間は長い。

多くの果実が1年で、実をつけるに対し、パインは1年7か月かかる。農家さんも3年計画で、2作を回す計画を立てる。

その長い栽培期間に報いようと、農家はどうしても肥料を多く与えてしまう。以前は生長促進剤(ホルモン剤)も与えていた。

パインは、芯がまず生長する。その後、果肉が生長する。肥料やホルモン剤で不自然に大きくされたパインは、果肉が食べられる頃には、芯の老化が始まっており、筋張り、硬くて食べられない。

多くのパインの芯がくりぬいてあるのは、多肥が原因だ。

アフリカやブラジルが原産と言われるパインが、ハワイに持ち込まれ、大規模なプランテーションができると、その栽培方法がいよいよ確立された。

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遡ること、20数年前。九州大学の農学博士だった台湾出身の故・張さんとりょくけん会長の永田 照喜治が出会った。
当時、台湾でもパイン栽培は導入されており、やはり肥料も生長促進剤も多く与えられていた。二人は、そんな現状を打破しようと、品種や栽培方法に工夫を重ね、今のりょくけんパインが生まれた。

個人的な見解だが、台湾で改良された熱帯フルーツの品種は優れている。

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おそらく日本、特に沖縄で作られているパインのほとんどの品種が台湾で改良されたものだ。台湾で改良された品種は、「台農○号」と名付けられることが多い。最新品種は20数号まで出ていると聞いている。寸胴型で、酸味が少ない。試したこともあるが、りょくけんではそれを良しとせず、14号と17号を栽培している。14号は、かぐわしい香りのため、「芳香パイン」※という名で、一時代を築いた。ただ、栽培が難しく、寒さにも弱いため、消えゆく品種だと思う。17号は当たり外れが少なく、酸味が適当にあり、ジューシーで甘みが強い。よく店頭で、「これは沖縄のスナックパイン?」と聞かれるが、スナックパインは「台農4号」という品種で、少し古い。台湾では、ちまちまと食べるのが敬遠されたのか、主流でない。

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台湾のドラゴンフルーツの農家さんを訪ねた時のことだ。その農家さんは台湾でドラゴンフルーツの栽培で表彰されていた。

「張さんも、パインで表彰を狙ったら良いじゃないですか。」と聞くと、

「いや、台湾でいくら表彰されても意味がありません。自分のお客様は日本の方々ですから。」と回答が返ってきたという。

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先代に代わり、息子さんの張 堂泰さんがりょくけんとのパインの取引を引き継いでいる。日本語が堪能で、タイや中国の海南島でも栽培を取り仕切っており、パインの知識も深い。実業家だ。
最近の経済成長もあり、ビジネスとしては、日本向けに小玉のパインを作るよりも、大玉を作って、台湾や中国本土で販売したほうが利益になるのだという。

「でも、りょくけんさんとは、20年来の付き合いだからね。りょくけんがパインを止める時は、僕も日本への輸出は止めます。」と断言する。

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沖縄よりもさらに南の台湾。その台湾の南西部、屏東県の温暖な気候で育ったパイン。石ころガラガラの、栄養分が決して豊かではないが、水はけが抜群の場所で、長い月日を経て育ったパイン。芯までサクサク召し上がれ、ジューシーで甘みも抜群。5月中下旬ごろまでの販売予定。ぜひ楽しんでいただきたい。

■りょくけん完熟パイン 1玉 399円~630円(税込) 1/2玉 294円~399円(税込)

■カットパイン 1P 630円(税込)

■パインサラダ 399円(税込)

■パインとりょくけん野菜の紙包み焼き 672円(税込)

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