公私混同4。~飛行機の中で~

飛行機の予約が遅かったので、横一列の座席は望むべくもなく、次善の策として、縦一列に座席を確保した。
窓側と通路側が先に埋まるので、縦に真ん中の席。

長男を一番後ろに、一番前に次男、真ん中に私が座り、膝の上に2歳の三男を座らせた。
長男は、安定しているので、私の後姿が見えていれば、まあ大丈夫だろうと思った。
次男は、私がケアしたほうが良いと思い、見える範囲に座らせた。

―つもりだったが、背もたれが思った以上に大きく、まったく見えない。

が、一人で座っていたのが、功を奏したのか、なんだかおとなしかった。

「とーちゃん、寝ても良い??」と姿は見えないが、声が聞こえた。
「良いよ。」

朝も早かったので無理もない。

客室乗務員さんは我々が縦に並んで座っていることなどはつゆ知らず、「もう少し強くシートベルトを締めてください」と次男に声をかけ、隣に座っている女性の方が手伝ってくださった。

あ、これは完全に勘違いさせるな、と思い、手伝ってくださった女性の方に「すみません、ありがとうございます。」と声をかけさせてもらった。

「お母様では?」

「いいえ、違います。」と女性の方が否定して、ここでようやく乗務員さんも気付いてくれた。

「席変わりますよ。」とその女性の方が言ってくださった。
「まだ飛行が安定していないので、シートベルトのサインが消えたら、お声おかけしますね。」

どうやら、右隣、通路側、縦に並んで座っていた方はご親族のようだった。

ピン。

シートベルトのサインが消え、飛行が安定したところで、乗務員さんがいらっしゃって、席の交換ができた。
次男は、晴れて私の右側の、通路側の席に座った。

緊張していた顔が瞬く間にほぐれ、騒がしくなった。

長男は、少しうらやましいのか、やたら後ろから手を出してちょっかいをしてくるようになった。

「声が小さくなった~」

気圧の変化で、耳の鼓膜が押され、聞こえが悪くなったらしい。
あまり僕の声が聞こえなくなったようだ。

「カルピスのみな。」

「治らない~」

雲行きが怪しくなってきたところ、有難いことに、客室乗務員さんが、キットカットを持ってきてくださった。
スカイマーク印のキットカットを現在、無料配布サービスを行っているらしく、チョコレート好きの三人は、黙って静かになった。
そして食べたおかげで、

「耳、少し治った~」

塗り絵も持ってきてくださり、それぞれクレヨンで思い思いに、スカイマークの飛行機に着色。
フライト時間は1時間半で、あっという間だった。

8時20分。

無事に札幌新千歳空港に、私たち4人は降り立ったのである。

コメント

人気の投稿