湯ノ口さん来訪。

今日は特別な日だった。

店頭で接客をしている最中、左に、細身で日に焼けた、精悍な顔の、ちょっと怖そうな方がちらっと見えた。
様々な記憶があっという間によみがえり、その顔が誰だか一致した。

振り返って思わず二度見。

あ!

ぺコンと挨拶してくださった。
怖そうなイメージと違う柔和な笑顔。

接客が終わって、私もご挨拶。

「どうも、どうも!ご無沙汰しています!」

指宿の農家さん 湯ノ口(ゆのくち)さんだった。
アグリスタイルという法人にもしており、スナップエンドウをどうしても周年化したいと思っていた当時、お会いできた、同年代の農家さんだ。
スナップエンドウなど、豆野菜は旬が短く、1作柄だけを普通に作っていれば、2週間ほどで終わってしまう。
しかも春に集中する。
湯ノ口さんは、指宿の地温の高い気候特性とハウスと作柄を複数持つことで、10月末から5月いっぱいまで収穫する。
こんなことを、実施し、しかも経営を成り立たせている方を私は他に知らない。
なお、5月から10月末までは、オクラを栽培。

農業法人化し、誰かを採用するときに不可欠な、一年間何かしらを出荷し、収入を得る、という体系をきちんととっている。

アグリスタイルを修業の場にして、旅立つ若手農家も、話を聞いているとなんだか多い。
オクラとスナップエンドウを中心に、指宿の特徴ある野菜を仕入れて、業務筋にも卸している。

誰のか分からないものを仕入れていると勘違いしていたが、尊敬している仲間だったり、アグリスタイルを巣立った、素性のはっきりしたものに限定していると聞いた。

「近くまで来ていたもので。地下1階だったかな、地下2階だったかなと思いながらぶらぶらしていたら、お会いできました。」

バーテンダーをやっていたこともあるそうだが、基本的に、社会に出てからは営業マンだったという湯ノ口さん。
正直、かなりの男前だ。

「大森さん、顔が丸くなりました?」
「え、あ~」
「と言いつつ、僕も髪がなくなりましたけど!」

ちょっとだけ、気になっていたことをさらりと言ってしまった。
他愛のない話に終始してしまったかもしれないが、お店にちょっと寄ってくださったのがとても嬉しかった。

ちょうど、湯ノ口さんが手がけた、スナップエンドウが初入荷の日だった。


午後の休憩を終えて、お店に戻ると、今度は、別の農家さんがいらした。

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