べにばえ。

「菜の花が凍ってしまって、収穫がちょっと難しそうです。」
静岡の浜松の岩井さんから、電話が入った。

「この寒さで、あの畑でしたら、仕方ないですね。連絡ありがとうございました。」

浜松の三方原台地、都田(みやこだ)という場所は少し標高も高く、浜松の都市部の人から言わせると、山間部の意識だ。
平地では雪が降らなくても、都田では降り積もる。

岩井さんの畑は、その中でもさらに冷え込む。

植物は凍っても、日が当たって解ければ、生きていることが多い。

「昨日は解けて、収穫できたんですけど、、、すみません。」

と岩井さん。

「そういえば、”ベニバエ”があります!」

電話を切ろうとしたときに、新しい柑橘の紹介があった。
名前からして、おそらく、紅が濃く、新しい、高糖度オレンジみかんのひとつであろう、と察した。

”紅まどんな”こと、愛媛試果第28号や甘平、せとか、など最近開発された柑橘は、どれも糖度が高く、食べやすいタンゴールが多い。

「ぜひください!明日送っていただけますか?ファックス流しておきますね!」

翌々日、売り場に出ると、べにばえが届いていた。

べにばえは、ひらがなで”べにばえ”と書き、最近、傑出した品種を世に送り続けている「農研機構」が作り出した品種だ。

林温州・福原オレンジを掛け合わせた「No.9」という品種に「アンコール」を交雑して育成した早生のオレンジみかんだ。

タンゴールというのは、みかん類をあらわすタンジェリンとオレンジの掛け合わせのことで、それぞれの頭の文字を重ねている。

一般にはまったく定着していないので、オレンジと表記されたり、みかんと表記されている。

べにばえは、見た目がよく、とてもオレンジ色が濃く美味しそう。
手で皮がむけて、ポンカンのような食感と食味だった。

種が少し入るが、じょうのう=うち袋が薄く、とても食べやすい。

糖度こそ、11.8度と、みかんと同等で、甘平や紅まどんなほどではなかったが、冷やして食べるととても美味しかった。

銀座のお客様にも評判は上々。

店頭でもし見かけたら、ぜひ召し上がってほしい。

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